20年の信頼関係が目指す日本一食事の美味しい病院へ

長野県上田市に位置する丸子中央病院は、一般病棟99床・地域包括ケア病棟50床・医療療養病棟50床・介護医療院(定員:97名)からなる地域に根差した医療を提供する病院です。開業以来、地域住民の方の健康を支え続けている同院において、2001年よりメフォスが入院患者様向けの食事提供を担っています。以来20年以上にわたり、病院のチームの一員として、患者様の回復を「食」の面から支えるパートナーとしての役割を果たしています。

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直営継続への悩みと委託化の決断

丸子中央病院は、1959年に丸山医院として開業し、1985年からは総合病院として地域に根差した医療に取り組んできました。かつては、栄養士や調理師などの調理スタッフを病院で直接雇用し、食事提供を行っていましたが、山々に囲まれた自然豊かな地域であり、過疎化も進みつつある状況の中、調理スタッフの継続的な雇用に不安を感じる場面が多々あったといいます。同時に、より患者様のケアに力を注いでいきたいと考え始めていたところでした。

このような課題に対し、同院は「思い切って調理に関してはプロに任せよう」と決断されました。数ある給食委託会社の中から、弊社を選定いただいたのは、全国規模で病院給食の実績を持ち、豊富なノウハウや知見があることに加えて、地域に寄り添った運営に強みを持つ点を評価いただいたためです。また、同院の課題であった人材の安定確保はもちろんのこと、安全衛生体制や食材仕入れ先のトレース等、品質管理においても信頼できると判断されたことが決め手だったといいます。

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メフォス食事提供開始後の評判

食事提供を弊社に委託していただくようになってからは、栄養科が掲げる「食事も治療の一環と考え、温かい思いやりの心で一人一人に対応した食事を提供すること」の理念のもと、栄養科と弊社で目線を合わせたクオリティを共有することに重きをおいてきました。その結果、食事の味が安定し「どのメニューも美味しい」と患者様から高い評価をいただいています。また、HACCP(危害分析重要管理点)に基づく衛生管理を徹底し、帳票類などの記録も適切に整備している点や、患者様の病状によって起こる急な食事変更にも迅速に対応している点が大きな安心感につながっており、20年来の委託継続が実現しています。

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病院食の新たな価値を追求

同院は外来レストランを有しており、フランス料理を専門とする山田康司シェフが料理を提供しています。その本格的なメニューが話題となるにつれ、入院患者様からも「食べてみたい」という声が多く寄せられるようになりました。

弊社と同院はその声に応える形で、山田シェフ監修の料理を患者様向けに月1回のスペシャルディナーとして提供することを検討しましたが、「レストランの個別調理」と「病院食の大量調理」では調理方法が大きく異なり、味の再現と衛生管理の両立という課題に直面しました。

「患者様にも楽しいイベントメニュー提供の実現」を目指し、弊社は山田シェフと綿密な打合せを重ね、アドバイスをいただきながら、料理ごとに最適な調理方法を見出していきました。味の再現性と安全性を両立するための工夫を重ねた結果、患者様向けの食事提供が実現。スペシャルディナーは毎回大好評を博しています。

―――「メフォスの方々は食事の美味しさだけでなく、“いかに安全に提供するか”にも高いプロ意識を持っているので安心してお任せできます。こちらからの要望に対しても、最初から『できない』とは言わず、『どうしたらできるのか』という姿勢で取り組んでくれたので、とても頼もしく感じました」(丸山理事長)

評判のスペシャルディナー

左:野菜のファルシ(野菜の中に別の食材を詰めたフランスの家庭料理) 右:鶏肉のパプリカシチュー

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非常時にも揺るがない、食事提供体制の確立

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、病院やメフォスのスタッフの間でクラスターが発生する可能性や、食材の供給が滞る事態が懸念される中、『これまで通り患者様に食事を提供し続けるためにはどうすればよいか』という、前例のない課題に直面しました。

この課題に対して、弊社は約10日分の災害時用の献立を作成し、同院に提案しました。従来3日分の非常食対応を想定し準備していますが、未曽有の事態に、通常の3倍以上の長期化を予測し、比較的長期保存が可能な食材を用いて、少人数でも調理・提供できる献立を考案しました。さらに、使い捨て食器の導入や配膳方法の見直しなど、院内感染防止に向けた対策も早期より実施していました。

―――「前例がなく、その場で考えて行動しなければならない状況の中、メフォスの皆さんはすぐに体制を整えてくださいました。『どのような事態になっても、必ず食事を提供し続けるという姿勢』を示していただき、とても心強かったです。おかげさまで、大きな問題もなく食事を提供し続けることができました」(平田栄養科長)

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目指すは日本一 更においしい病院食へ

病院食は、病状や嚥下機能に応じた制限があるためか、「美味しくない」というイメージを持たれがちです。しかし、同院では、患者様の約8割が食事に満足しているという調査結果が出ています。

この高い満足度を支えているのが、同院の栄養科と弊社が連携して行う献立会議です。各メニューに対して細かく意見を出し合い、時には塩分0.1g単位まで議論が及ぶことも。条件はありつつも、患者様が「美味しい」と感じる食事を提供することが、回復への第一歩であるという共通した考えのもと、日々ぬくもりのある美味しい食事の提供にこだわっています。

―――「患者様にはまず食べて体力をつけていただきたいと思っています。それが回復への第一歩だからです。ただし、食べる意欲を起こすためには「美味しさ」が重要です。メフォスの皆さんは、いつもこだわって食事を作って下さっており、とても感謝しています。そして、スペシャルディナーのように食事には「美味しさ」だけではなく、「楽しさ」の付加価値を今後もつけていってほしいと思っています。メフォスの皆さんと一緒に、信州一、いや、日本一食事の美味しい病院を目指したいと思っています」(丸山理事長)

メフォスは、これからも丸子中央病院のチームの一員として、患者様の笑顔のために挑戦を続けていきます。